
時短勤務の転職は厳しいって本当?実現するためのポイントと注意点を解説
育児や介護をしながら働き続けたい人にとって、時短勤務は欠かせない制度です。
しかし、一方で「時短勤務で転職するのは難しいのでは?」と不安を抱く方も少なくありません。
実際には、希望条件が多くなることで応募できる求人が限られたり、入社直後には制度を利用できない場合があるなど、いくつかの課題が伴います。
本記事では、こうした現状を踏まえ、時短勤務で転職を目指す際に押さえておきたい注意点や、実現に向けたポイントをわかりやすく解説します。
時短勤務制度の仕組みと特徴
時短勤務制度は、育児や介護などでフルタイム勤務が難しい人を支える仕組みです。
ここでは、制度の基本内容や導入している企業の割合、対象となる条件などを解説します。
時短勤務とは
時短勤務とは、育児や介護などの事情でフルタイム勤務が難しい従業員が、労働時間を短縮して働ける制度です。
育児・介護休業法第23条に定められており、企業には制度設置が義務付けられています。
たとえば、育児の場合、3歳未満の子を養育する従業員には、1日の所定労働時間を6時間とするなどの時短勤務制度を設けることが法律上義務化されています。
なお、3歳から小学校就学前までの子を養育する従業員については、時短勤務の義務はなくなりますが、残業の免除やテレワークといった柔軟な働き方を支援する制度を導入することが求められています。
時短勤務制度を導入している企業の割合
コロナ禍を契機に在宅勤務やフレックスタイム制が広がり、時短勤務制度に対する理解も進んでいます。
厚生労働省の「令和6年度雇用均等基本調査」によると、育児のための短時間勤務制度を導入している企業は70%に達しています。
制度を整える企業は増加傾向にあり、転職希望者にとって時短勤務を選びやすい環境が整いつつあるといえるでしょう。
時短勤務の対象となる条件
時短勤務の対象は育児と介護で異なります。
育児の場合、「3歳未満の子を持つこと(満3歳の誕生日前日まで)」「週3日以上勤務していること」が条件で、派遣社員や契約社員も対象になります。
ただし、すでに6時間以下で働いている人や日雇い労働者は対象外です。
介護の場合は「1年以上継続して雇用されていること」が前提で、配偶者・父母・子・祖父母など要介護状態の家族を支える従業員が利用できます。
利用期間は1人につき3年間で、2回まで分けて取得可能です。
短時間正社員との違い
短時間正社員とは、企業が独自に設ける制度で、1日5〜6時間勤務であっても正社員として雇用契約を結べる仕組みです。
育児や介護といった特定の事情がなくても、企業との合意があれば利用できます。
一方で時短勤務は、育児や介護を理由とする場合に法律で認められた制度であり、企業に設置が義務付けられている点が異なります。
時短勤務での転職が厳しい理由

時短勤務は制度として普及しつつありますが、転職となると厳しさを感じる場面も少なくありません。
ここでは、希望条件や企業側の体制など、転職が難しいといわれる主な理由を解説します。
希望条件が多くなり応募できる求人が限られる
時短勤務で転職を希望する人は、育児や介護と両立しながら働きたいという事情から、勤務時間や通勤距離に加えて職種・年収・福利厚生など条件が増えやすい傾向があります。
条件が積み重なるほど求人の選択肢は狭まり、魅力的に見える企業であっても自分の希望と合わず応募を諦めざるを得ないケースも少なくありません。
入社すぐの時短勤務に対応する企業が少ない
多くの企業では、時短勤務を勤続1年以上の社員に限定しており、入社直後から利用できるケースは少ないのが現状です。
法律上は勤続年数に制限はありませんが、就業規則や労使協定で「勤続1年未満は対象外」とされていることが多いためです。
そのため、入社すぐに時短勤務ができる求人を見つけるのは難しく、転職活動のハードルを高める要因となっています。
仕事量と勤務時間が合わない
多くの職場ではフルタイム勤務を前提に業務が組まれているため、時短勤務者が同じ仕事を任されると時間内に処理できない場合があります。
その結果、業務の見直しや分担調整が必要となり、企業側に追加の負担が発生すると受け取られやすいのです。
こうした背景から、時短勤務を前提とした採用に慎重になる企業も少なくありません。
求人情報だけでは時短勤務の条件がわかりにくい
求人情報に「時短勤務可」とあっても、利用開始時期や勤務時間の詳細が記載されていないことは珍しくありません。
実際には勤続年数や会社独自のルールで制限される場合も多く、条件に合う求人を探すのは簡単ではありません。
そのため、希望の働き方と求人内容が一致する企業を見つけるのに苦労する人も少なくないのが実情です。
条件に合う求人を自分だけで探すのは難しいものです。
そんなときは、LINEで気軽に相談できる転職エージェントを活用してみましょう。
時短勤務での転職を実現するためのポイント
時短勤務での転職を成功させるには、条件の整理や自分の強みを発揮できる環境を選ぶことが大切です。
ここでは、具体的なポイントを解説します。
時短勤務で優先したい条件を明確にする
時短勤務といっても、希望する働き方は人それぞれです。
1日に働きたい時間や出勤日数、在宅勤務の有無など、まずは自分の条件をはっきりさせましょう。
すべての希望を満たす求人は少ないため、譲れない条件と妥協できる条件を明確にしておくことが大切です。
条件を整理しておけば、求人探しや企業との交渉が進めやすくなり、転職活動に伴う不安や迷いも少なくなるでしょう。
時短勤務の内容と条件を理解する
時短勤務には、法律で義務付けられた制度と、企業が独自に設ける制度があります。
法定の時短勤務は、3歳未満の子どもを育てる労働者が対象で、労働時間を1日6時間に短縮して働ける仕組みです。
一方で企業独自の制度では、フレックスタイムや短時間正社員など、より柔軟で好条件なケースもあります。
応募の際は、契約内容や利用条件を事前にしっかり確認しておきましょう。
自分のスキルや経験が活かせる職種を探す
時短勤務での転職を考える際は、自分のスキルや経験を活かせる職種や企業を選ぶことが重要です。
得意分野であれば勤務時間が短くても成果を出しやすく、企業への強いアピールにつながります。
自分の強みを具体的に伝えることで、短時間勤務でも十分に活躍できる人材であることを示せるでしょう。
育児や介護に理解のある職場を探す
時短勤務制度が整っていなくても、テレワークやフレックスタイム制度があれば、育児や介護と仕事を両立できる場合があります。
自宅で育児や介護をしながら働けたり、送迎の時間に合わせて勤務時間を調整できる点が大きなメリットです。
こうした柔軟に勤務できる環境であれば、フルタイム勤務で収入を維持しながら、子育てや介護との両立もしやすくなるでしょう。
働く意欲と長期勤務の意思を示す
時短勤務を希望すると、「すぐに辞めてしまうのでは」と懸念されることがあります。
そのため、志望動機や面接では働く意欲をしっかりと伝えることが重要です。
また、「長く働きたい」という意思を明確に示すことで、企業側も安心して採用しやすくなり、評価につながるでしょう。
特に、自分のキャリアプランや成長したい分野を具体的に語れば、時短勤務でも前向きに働く姿勢を伝えやすくなります。
時短勤務での転職では、志望動機や面接での伝え方が評価を大きく左右します。
転職エージェントなら、条件に合った求人紹介だけでなく、意欲を伝える志望動機の作成や面接対策までサポートしてくれるので安心です。
時短勤務で転職する際の注意点

時短勤務で転職を考える際には、制度のメリットだけではなく、注意点も理解しておくことが大切です。
ここでは、転職活動で後悔しないために押さえておきたいポイントを紹介します。
時短勤務のデメリットを把握しておく
時短勤務は育児や介護と両立させやすい一方で、フルタイム勤務に比べて給与が減り、家計や将来設計に影響を及ぼす可能性があります。
また、勤務時間が短いことで昇進やスキルアップの機会が限られ、キャリア形成に不利になる場合もあります。
こうした点を事前に理解しておくことで、転職後に「想像と違った」と後悔するリスクを減らせるでしょう。
希望条件は面接の初期段階で伝える
時短勤務の条件や待遇は企業によって異なり、利用できる職種やポジションも限られていることが一般的です。
そのため、面接の初期段階で勤務時間や曜日などの希望を具体的に伝えておくことが大切です。
早い段階で希望条件を共有することで、企業側も対応を検討しやすくなり、入社後のミスマッチを防ぐことにつながります。
時短勤務が難しい場合は代替案を検討する
時短勤務が利用できない場合でも、柔軟に働ける制度は他にもあります。
たとえば、フレックスタイム制度があれば、出勤や退勤の時間を自分で調整でき、家庭の事情に合わせやすくなります。
社内保育施設を利用できる企業であれば子育てとの両立がしやすく、テレワーク制度を導入している企業であれば介護との両立もしやすくなるでしょう。
また、育児や介護との両立が大変な場合には、パートやアルバイトといった雇用形態に切り替えるのも選択肢の一つです。
収入を確保しつつ、シフト制で柔軟に働けるため、ライフスタイルに合った働き方を見つけやすくなるでしょう。
時短勤務でも迷惑をかけないための職場での工夫
時短勤務は育児や介護と両立できる働き方ですが、周囲に負担がかかる場面もあります。
職場で「迷惑」と思われないためには、日頃の工夫や配慮が欠かせません。
ここでは、その具体的なポイントを紹介します。
限られた時間でも業務をカバーする姿勢を持つ
時短勤務では子どもの事情などで遅刻・早退・欠席が発生しやすいものです。
その際も「できません」と突き放すのではなく、「明日対応してよいか」「自宅で進めたい」など代替案を示す姿勢が大切です。
また、自分の業務を共有しやすい形にしておけば、周囲がサポートしやすくなり信頼にもつながります。
限られた時間内でも取り組む意欲を示すことが、職場との良好な関係を築くポイントです。
周囲のサポートに感謝する姿勢を持つ
時短勤務では、上司や同僚に業務を頼む場面が少なくありません。
その際に「いつも申し訳ないのですが」「お忙しい中ありがとうございます」といった一言を添えるだけで、相手の受け止め方は大きく変わります。
また、仕事を代わってもらったときは必ず感謝を伝え、「やってもらって当然」と思わない姿勢を持ち続けることが大切です。
こうした配慮が信頼関係を築き、職場でのサポートにもつながります。
愚痴ではなく情報共有で信頼を得る
時短勤務中は育児や介護で時間に追われがちですが、職場で愚痴をこぼすのは逆効果です。
代わりに「子どもが体調を崩して呼び出されるかもしれません」など、事前に情報を共有しておくことで、周囲も対応の準備ができます。
不満ではなく情報を伝える姿勢を心がけることで、信頼を得やすくなります。
前向きに努力する姿を示せば、協力や共感は自然と集まるでしょう。
まとめ:時短勤務の転職で充実した毎日を手に入れよう
時短勤務は、育児や介護と両立しながらキャリアを続けたい人にとって欠かせない制度です。
ただし、転職では希望条件が増えることで、求人探しや企業選びが難しくなる場面もあります。
そのため、自分の優先順位を整理し、制度や条件を正しく理解したうえで行動することが重要です。
準備と工夫をしっかり行えば、時短勤務の転職でもキャリアと私生活を両立させ、前向きに充実した毎日を手に入れることができるでしょう。